甘くて美味しい「ハチミツ」は、ミツバチたちによって作られていることをご存じでしょう。

多くのケースで家畜の生産は、人工飼料に頼っています。

しかし、ミツバチたちは例外で、彼らの栄養要求を満たす「完全な栄養食」はこれまで存在してしていませんでした。

そんな中、ワシントン州立大学(Washington State University)の研究者たちは、ミツバチの生育を持続的に支える「完全栄養食」の開発に成功しました。

研究の詳細は、2025年4月16日付で、科学誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されました。

目次

  • ミツバチは「人工飼料だけで飼育できない唯一の家畜動物」だった
  • ミツバチの「完全栄養食」が開発される

ミツバチは「人工飼料だけで飼育できない唯一の家畜動物」だった

ミツバチは、世界の農業生産の約35%に関与する、欠かせない花粉媒介者です。

そんな働き者の彼が作り出す「ハチミツ」もまた私たちの多様な食生活には欠かせないものです。

養蜂家はミツバチたちを巣箱で飼育しており、ミツバチたちが周囲から集める花粉や蜜によって、ハチミツを得ています。

しかしこれまで、ミツバチにはすべての栄養要求を満たす「完全な人工飼料」が存在していませんでした。

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ミツバチは「人工飼料だけでは飼育できない唯一の家畜」 / Credit:Canva

牛や豚などの家畜は、すでに栄養バランスを整えた人工飼料によって管理されていますが、ミツバチだけは自然界の花粉に頼りきりだったのです。

そのため、花粉が少ない時期には深刻な栄養不足に陥ります。

研究チームも次のように述べています。

「ミツバチは雑食性で、すべての栄養を単一の供給源から得ているわけではありません。

生き残るためには多様な食生活が必要であり、コロニーの維持に必要な花粉を継続的に確保することはますます難しくなっています」