厚生労働省は、年金制度改革法案から「基礎年金の底上げ」策を削除する方向で調整に入りました。この施策は、財源として厚生年金の減額や国庫負担の追加を伴うため、自民党内で強い反発がありました。

政府は、パート労働者の厚生年金加入拡大や高所得者の保険料引き上げなどだけ法案に盛り込み、今後、与党内での議論を経て国会に提出する方針です。

年金制度は、全員が加入する基礎年金(1階部分)と、会社員や公務員が加入する厚生年金(2階部分)の2層構造です。厚労省は、基礎年金の財政悪化に備え、厚生年金の一部を減額し、さらに国庫負担を増やすことで基礎年金の給付水準を将来的に引き上げる案を検討していました。

しかし、この案では厚生年金の受給額が一時的に最大月7,000円減るとされ、消費税にして約1%分、年に2.6兆円もの追加財源が必要と見込まれています。これに対しては、「将来の増税につながる」との懸念も自民党内で広がりました。