しかし、いつまで経っても政権から降りようとせず、結局8年もの間、首相の座に居座ることになったのだが、これに対しアメリカを始めとする世界の民主主義陣営が非難し始め、プラユット政権は孤立してしまったわけである。
そこで唯一中国だけが、こっちの水は甘いぞ、とばかりにすり寄ってきた結果、当時藁をもつかむ思いであったプラユット首相は、一気に親中に傾倒していったのである。
その結果、タイは中国人たちに迂回輸出で利用されることになってしまい、今のタイ政府はトランプ政権の相互関税に苦悩しているわけである。
なお、これについてはもう5年近く前になるが、本サイトでも「南シナ海防衛、ASEANが海軍力を増強する背景」と題して当時のタイの事情について触れたことがあるが、今頃になってその後遺症が出てきているのである。
EEC(東部経済回廊)の現状中国からのEEC投資は期待外れ 中国投資家は自国の建設資材、労働力、そして請負業者を持ち込んでいる。
中国からの産業投資によるタイの不動産への恩恵は、東部経済回廊(EEC)内の工業団地やその他の地域での土地売却に限られる可能性がある。
「中国人たちは(EECで)工場を建設しているが、自国の請負業者、労働力、そして建設資材を持ち込んでおり、現地サプライヤーを介さない。また、工業団地外にある中国工場も、タイ人労働者をほとんど雇用していない」。
バンコクポスト
日本を含め、大きな注目を集めていたタイのEEC(東部経済回廊)であるが、タイ政府はここに中国BYDなどの工場を誘致して、タイがEV生産でアジアのハブになることを目指す、という大きな花火を打ち上げたわけである。
しかし実態は、中国人たちは工場だけでなく工場周辺で従業員たちが住むアパートの不動産開発までやり始め、さらにはその工場や工事現場ではたくさんの中国人労働者が働き、しかも工場での生産に使うパーツや建設資材などもほとんどが中国から直接輸入されているのである。