●この記事のポイント
・メルカリ、高額取引における出品・購入時での本人確認を必須化
・「お客さまサポートの体制の強化」「お客さまへの補償の拡大」「不正利用者の排除」を推進
・AIシステムの精度を高めて、不正検知による対策を強化していく
返品詐欺や出品情報ページ記載の商品と異なるものが購入者のもとに届く事例が相次ぎ、昨年(2024年)に顧客サポートの体制強化と新たな補償方針を発表したフリマアプリ「メルカリ」。今月には、あるユーザーが「メルカリで8万円のデニムを買ったら果汁グミが届いた」とSNS上に投稿して拡散されるなど、詐欺的な行為の被害にあったという報告がSNS上に投稿されるケースが相次いでいる。EC運営会社関係者は「メルカリ運営元もポリシーの見直しやサポート体制強化など、やれることはやっているようにみえるが、悪意を持った人物の違法行為を完全になくすことは現実的には困難であり、ユーザーには自衛の意識が求められる」と指摘する。メルカリはBUSINESS JOURNALの取材に対して「3月には高額取引における出品・購入時での本人確認を必須化としており、今後も安心安全な利用環境の構築に向け引き続き取り組んでまいります」と説明する。
メルカリでは以前から、出品情報ページ記載の商品と異なるものが購入者に送られてくるというケースが稀に発生していた。この場合、購入者は受取評価を行わずに、商品状態の詳細・要望を取引相手に連絡し、出品者との間で合意できる解決方法があるかを話し合うこととなる。そこで解決に至らない場合は、購入者は商品が到着してから14日以内に事務局に問い合わせ、事務局が利用状況に応じて補償対応の可否について調査する。重要なのは受取評価をしないことであり、購入者が受取評価を完了し、次に出品者が取引を評価してしまうと取引完了となり、キャンセルができなくなる。取引が完了したタイミングで出品者に売上金が入る。
一方、昨年後半頃から問題となっていたのは、出品者が返品詐欺にあうケースだ。出品者が購入者からの返品要求に応じたところ、ゴミや安価な物を送りつけられたり、購入者が代金を受け取れないまま返品されずに物品を事実上盗まれてしまうというもの。
ちなみにメルカリはこれまで規約で「ユーザー間の売買契約、出品、購入等の保証等に関しては、すべて当事者であるユーザーの自己責任とし、弊社は自ら売買を行うものではなく、売買の委託を受けるものでもありません。弊社は、本規約中に別段の定めがある場合を除き、売買契約の取消し、解約、解除、返品、返金、保証など取引の遂行には一切関与しません」と定めていたが、今年1月に次のようにこれを改定した。
「弊社は、ユーザー間の物品の売買の場・機会を提供するもので、売買契約の当事者にはなりません。但し、弊社は、本規約等の定めに従い、本サービスの適切な運営のため、弊社の判断で、ユーザーへの連絡、取引の完了又はキャンセル処理、補償その他必要な対応をとる場合があります」
高額取引における出品・購入時での本人確認を必須化
前述のようなトラブルを防ぐために、メルカリは現在ではどのような対策を講じているのか。同社は次のように説明する。
「メルカリでは、正しくご利用いただいているお客さまが不利益を被ることがないよう、主に以下の3つの点でお客さまに安心安全にご利用いただける環境の構築を進めております。
・お客さまサポートの体制の強化
・お客さまへの補償の拡大
・不正利用者の排除
※メルカリの安心安全に関する体制強化と新たな補償方針による対応の開始について
メルカリ上での取引については、購入者が代金を支払うとメルカリで一時的に預かり、商品到着後、購入者が受取評価をすると出品者に代金が支払われます。ご送付いただいた事案につきまして、商品説明と異なる商品を送る行為が利用規約違反に該当することから、お客さまに事実確認を行い、利用制限等の対応を実施しました。当該取引については、すでに出品者によりキャンセルされており、購入者には購入代金が戻っております。
同様の被害に遭われているお客さまがございましたら、お問い合わせ窓口までご連絡いただきたいと考えています。
対策については、不正行為を検知するためのAIシステムを運用しており、お客さまの取引状況等のデータを踏まえ、独自のAIスコアを算出し、監視を行っております。引き続きAIシステムの精度を高めていき、不正検知による対策を強化してまいります。さらに、3月には高額取引における出品・購入時での本人確認を必須化としており、今後も安心安全な利用環境の構築に向け引き続き取り組んでまいります」