イギリス料理がまずいというネタは世間に広く知られており、なぜそんな事になったのかこれまで色々な説が唱えられてきました。
しかし個人的な感想や単なる思い込みによるものも多く、納得のできる説はあまり上がってきませんでした。
果たしてどうしてイギリス料理はまずいと言われてしまうのでしょうか?
本記事ではどうしてイギリス料理はまずいと言われるようになったのか、昔からイギリス料理はまずかったのかについて紹介します。
なおこの研究は、アサヒビール学術振興財団『食生活科学・文化及び地球環境科学に関する研究助成 研究紀要』17巻に詳細が書かれています。
目次
- イギリス料理をまずくした元凶は農業革命
- かつてのイギリス料理は美味しかった?
イギリス料理をまずくした元凶は農業革命

イギリス料理をまずくした原因としては、農業の世界にも資本主義を取り入れた農業革命が訪れた点が挙げられます。
農業革命は産業革命とセットで起きた変化です。
産業革命により、都市では職人の代わりに工場で製品が大量生産されるようになりました。
これにより多くの労働者が必要となり、都市部の人口が増加します。都市人口の増加は、食料需要を高め、農村ではより効率的な農業生産が求められるようになります。
こうした流れの中で起きたのが農業革命です。
農業革命によって農村は食料の自給自足をやめ、必要な食料は輸入に頼り、商品として特化した農作物の生産を始めるようになります。
土地は農業経営者のものとなり、農村の共有地がなくなって立ち入りが違法とされ、木の実や鳥を捕まえることも窃盗罪に問われるようになったのです。
これにより多くの農民は土地と切り離された農業労働者になりました。
こうして誕生した農業労働者は農閑期に一時的に解雇され、都市で他の仕事に就くようになり、年間を通じて農村に住む人々の数が減少したのです。