選挙争点は教育、住居問題などの他、増加する難民対策だ。小・中等公共学校でイスラム系出身の家庭の生徒がカトリック教の家庭の子供より多くなったことが明らかになったばかりだ。ウィーン市教育関係者はドイツ語を話せない生徒が多くなり、頭を抱えている。ドイツ語学習を如何に徹底するかなどが今回の選挙でもテーマとなっている。ウィ―ン市はあと数年で200万人都市入りするが、人口増加の主因は移民・難民の増加だ。換言すれば、イスラム系移民・難民の増加だ。

最後に、ウィ―ン市議会選の見通しを簡単に紹介する。SPOの第1党は確実だが、前回より得票率を少し落とすだろう。その最大の理由はFPOが支持率20%を超える勢いを見せているからだ。シリア出身の子だくさんの難民家庭が月4000ユーロ以上の援助金を受けていることが報道されると、ウィーン市民の平均賃金の倍以上の手当てが働いてもいない難民に補助されていることに市民の不満と疑惑が高まった。そのため、SPO主導の難民政策への批判の声が再び強まってきている。一方、FPOはイビザ騒動の影響も薄れてきていることもあって、2015年の選挙時の得票率31%に迫る支持を集めるのではないかと予想されている。

オーストリア連邦レベルでは与党第1党の国民党は前回の選挙ではFPO離れした票を吸収して20%を超える得票率を得て第2党になったが、今回は選挙戦が始まる直前、国民党のマーラー党首の不正容疑問題がメディアに流れたこともあって、支持率を落としている。一方、都市に強い「緑の党」と連邦レベルで初の政権入りした「ネオス」は得票率をアップさせることが考えられる。

ウィーン市庁舎 pressdigital/iStock

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。