スマホを操作する指が、つい元恋人のアイコンをタップしてしまう――そんな経験に覚えはありませんか。

映画やドラマが刷り込んだ「この人こそ運命の相手」という信念は、別れた瞬間に脳内のスイッチを切り替え、メッセージの既読チェックやストーリーの秒単位更新、さらには偶然を装った接近行動へとエスカレートさせることがあります。

アメリカのミネソタ大学(UM)で行われた大規模調査によって、恋を“唯一無二の宿命”と信じる人ほど、失恋後に連絡・SNS監視・物理的接近など別れ後の連絡・追跡行動を実行しやすいことが示されました。

別れ後の連絡・追跡行動をとった人々は関連行動を平均5.7件も重ねており、相手をソウルメイトと感じる人では信念と追跡行動の相関係数が0.57と、全体の約二倍に跳ね上がることがわかりました。

相関係数0.57というのは強い相関と見なされており、相手をソウルメイトと信じることがその後の追跡を加速させている可能性があります。

では、私たちはどうすれば「運命の恋」という甘い物語の呪縛から抜け出し、健全に失恋を乗り越えられるのでしょうか?

研究内容の詳細は『Personal Relationships』にて発表されました。

目次

  • シンデレラ思考 VS 盆栽思考
  •  運命の人は別れても追跡してしまう

シンデレラ思考 VS 盆栽思考

シンデレラ思考 VS 盆栽思考
シンデレラ思考 VS 盆栽思考 / Credit:Canva

「たったひとりの運命の相手」という物語は、古代神話からハリウッド映画まで語り継がれてきました。

しかし現実には、アイコンがオンラインになるたび胸がざわめき、既読確認がやめられない――そんなストレス行動を引き起こします。

脳画像研究では、恋愛の高揚感がコカインと同じ報酬回路を刺激し、失恋は“恋愛の禁断症状”に似た反応を招くことが報告されています。

さらにSNSのおかげで、元恋人の発信や行動を手軽に追える時代となり、約7割の参加者が別れ後に何らかの別れ後の連絡・追跡行動を経験していることが分かりました。