高い身体能力は守備で直に生きてくる。素早いインターセプトやデュエルでの激しいタックルは見事だ。

ジュード・ベリンガム 写真:Getty Images

求めに応じてポジションも戦い方も変幻自在

ユース時代から飛び抜けた能力があり、各世代のイングランド代表としてプレーしてきたベリンガム。イングランド代表選手の多くが、クセが強いプレミアリーグでプレーしているため、他の欧州主要リーグで培ったベリンガムの経験は貴重だ。

クラブでは2019年、当時EFLチャンピオンシップ(2部リーグ)だったバーミンガム・シティの対ポーツマス戦(8月9日、EFLカップ)でクラブ史上最年少出場記録を樹立するとレギュラーに定着した。

バーミンガム(2019-2020)でつけた22番は「攻撃的MFの10番」「ボックストゥボックスMFの8番」「守備的MFの4番」をあわせた数字になっている。ボルシア・ドルトムント(2020-2023)でも同じ22番だった。ベリンガム自身がそれを自覚し、目指しているということだろう。そして現在はマドリードでジダンの5番を継承する。

代表でもクラブでも、各監督は意図する戦術の中、キーになると考えるポジションでベリンガムを起用する。チーム、監督、対戦相手、試合によって、起用されるポジションや戦い方が変わる。それだけ、ベリンガムはプレーに深みがあるということだろう。アンカーや左サイドMF、トップ下、さらに前がかりのFWのようなポジションでも機能する。


ジネディーヌ・ジダン 写真:Getty Images

生きる伝説ジダンとの類似点

プレーメーカーには技巧派が多いなか、ジダンもベリンガムも強靭なフィジカルと体幹を特徴とする珍しいタイプだ。強力な身体と長い脚をダイナミックに動かしながらも、足元ではインサイド・アウトサイドと繊細にボールを操るベリンガムの仕草は、ジダンにそっくりである。