普段の歩くスピードを意識したことはありますか?
たとえば信号が変わりそうな交差点を渡るときや通勤時に早歩きになることはよくあることです。
そんな日常的な「早歩き」が実は心臓の健康と密接に関わっているかもしれない、という興味深い研究結果が発表されました。
研究を行ったのは、英グラスゴー大学(University of Glasgow)の研究チームです。
彼らは英国の大規模健康調査データ「UKバイオバンク」を用いて、歩行速度と心拍リズム異常(不整脈)との関係を解析。
その結果、ある速度以上で歩くと、心臓病のリスクが有意に低下することがわかったです。
研究の詳細は2025年4月15日付で英国医学誌『Heart』に掲載されました。
目次
- 不整脈が悪化すると「心不全」や「突然死」の恐れも
- どのくらいの速さで歩くと不整脈を予防できる?
不整脈が悪化すると「心不全」や「突然死」の恐れも

「早歩きをすると健康に良い」と聞いたことがある人は多いかもしれません。
これまでにも、早歩きが心筋梗塞や高血圧、糖尿病の予防と関連していることは複数の研究で示されています。
しかし心臓の拍動リズムが乱れる「不整脈」に関しては、具体的な関係がはっきりとは分かっていませんでした。
心房細動や心室性不整脈といった異常は、重症化すると心不全や脳卒中、突然死の原因にもなりうる深刻な疾患です。
そこで今回、研究チームは「歩く速さがこうした不整脈の予防につながるのか?」という素朴ながらも重要な疑問を抱きました。
研究では、自己申告による歩行速度に加えて、活動量計を用いて実際の歩行スピードも測定しました。
さらに歩行時間や生活習慣、持病の有無なども統計的に調整したうえで、歩行速度と不整脈リスクの関係を明らかにすることを目指しました。
どのくらいの速さで歩くと不整脈を予防できる?
チームは、英国バイオバンクに登録されている42万人以上の中高年を対象に、平均13年間の追跡調査を実施しました。