1992年公開の大ヒット映画『ホーム・アローン2』。ニューヨークのプラザホテルのロビーで、ケビン少年に道を教える男性――それが当時のプラザホテルのオーナー、ドナルド・トランプ氏だ。7秒ほどの短い登場だが、監督クリス・コロンバスにとっては「呪い」のような存在になっている。

コロンバス監督は、サンフランシスコ・クロニクルのインタビューで、トランプ氏の出演シーンをカットしたくても報復が怖くてできないと語った。

監督は「もう呪いみたいだ。なくなってしまえばいいのにと思うほどだ」と後悔を吐露。「僕にとって重荷になっている。ただ、消えてくれればいいのにと思う」とも語った。

さらに「切るなんてできない」と述べ、「切ったら、たぶん国外追放になる。アメリカに住むには不適格とみなされて、イタリアかどこかに帰らなきゃいけないだろう」と加えた。

トランプ氏が出演をゴリ押し?

そもそもトランプ氏の出演は、コロンバス監督が望んだものではなかった。

監督は、2020年のインタビューで、ホテルで撮影するための条件としてトランプ氏が「(自分を)ぶっ込んできた」と説明。製作チームはすでに撮影使用料を支払っていたにも関わらず、トランプ氏が「自分の出演がプラザを使用できる唯一の方法」と主張し、「強引に迫った」という。

当初その出演シーンは編集でカットする予定だった。しかし、試写での反応が良かったため、「観客にとっての素晴らしい瞬間」だと思い、編集に残すよう指示したという。

トランプ氏の認識は180度異なる。

監督の主張に対して、「懇願」されたため、否応なしに出演したとSNSで反論。さらに、わずか7秒の出演にもかかわらず、ヒットの手柄は「自分による」ものだと豪語した。

メディアへの圧力を加速

トランプ政権はメディアへの圧力を強めている。

トランプ氏によって連邦通信委員会(FCC)の委員長に任命されたブレンダン・カー氏は1月、公共放送PBSと公共ラジオNPRに対して調査を開始した。スポンサーによる番組提供が広告規制に違反している可能性があると主張している。加えて、トランプ氏は、これら公共放送が左派に偏向していると批判を繰り返し、政府の資金提供を打ち切るべきだと主張している。