今回の研究は、地味な雑草に見えるシロイヌナズナが、実はきわめて効率的な資源配分戦略を持っていることを示し、それを応用すれば持続可能な農業や次世代の食料生産技術にも貢献できるかもしれないという明るい展望を与えてくれました。

言い換えれば、「受精」というイベントを合図に、植物がどのように玄関のドアを開け閉めし、貴重な栄養を届けているのかを初めて具体的に捉えたともいえます。

今後ゲートの構造をさらに細かく調べることで、私たちの暮らしを支える食卓の姿が大きく変わる可能性もありそうです。

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元論文

Fertilization-dependent phloem end gate regulates seed size
https://doi.org/10.1016/j.cub.2025.03.033

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部