では、スウプチョには何の目的があったのでしょうか?
何の目的があったのか?

クマという動物は、当時の北欧の人々にとって特別な存在でした。
強く、まれにしか出会えない、冬には姿を消す。
そうした神秘性から、クマは「異界との境界を超える存在」、つまり精霊や守護者のような意味を持っていたと考えられています。
さらに素材としての琥珀もまた、特別な力を宿すと信じられていた可能性があります。
見た目は石のようなのに軽く、海水に浮かび、磨けば輝き、火をつけると芳香を放ち、そして摩擦すると静電気で光る。
こうした“魔法のような特性”が、人々にとって神聖な素材としての地位を与えていたのです。
そのため、クマという象徴的な動物を、琥珀という特別な素材で形にすることには、呪術的・宗教的な意味があったとみられています。
つまり、スウプチョはただの首飾りではなく、“護符”や“精霊の依り代(よりしろ、精霊が宿る場所)”としての役割を果たしていたのかもしれません。
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参考文献
Słupcio: A 6,000-year-old amber ‘gummy bear’ that may have been a Stone Age amulet
https://www.livescience.com/archaeology/slupcio-a-6-000-year-old-amber-gummy-bear-that-may-have-been-a-stone-age-amulet
元論文
Stone Age amber bear figurines from the Baltic Sea area
https://doi.org/10.1484/M.TANE-EB.5.134373
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。