たとえば、少子高齢化や経済停滞といった日本の構造的問題に対して、「現行制度の中で調整する」という発想では、いつまでたっても根本的な変革は生まれにくい。
結果として、「閉塞感」が続くのだ。
官僚出身政治家に共通するリスク
宮澤洋一氏に限らず、財務省出身の政治家たちは、財政規律を何よりも優先する傾向がある。そのため、社会保障や教育投資など「未来への投資」は後回しにされがちだ。
確かに、「安定」は政治の大義ではある。しかし、その安定が、将来世代への希望や改革の芽を摘んでいるとしたらどうだろう。
過度な財政規律主義は、国民の活力を失わせる“静かな破壊”でもある。
与野党に共通する「官僚思考」
こうした官僚的な思考は、決して自民党に限ったものではない。むしろ野党第一党である立憲民主党にも、同様の傾向が色濃く見られると私は考える。
代表・野田佳彦氏は、「財政規律重視」の政治家として知られる。そのため、やはり財政保守派の石破茂氏との親和性も高い。
両者に共通するのは、財務省のブリーフィングを重視し、「財政赤字こそ日本の元凶」という信念に近いものを持っている点だ。
立憲民主党はまた、野党第一党としての「安定したポジション」に甘んじているようにも見える。
「政権交代」と叫びながらも、実際にはその可能性を本気で追い求めてはいない。むしろ、現状の議席数を維持し、政党交付金と委員長ポストを確保することが、現実的な目的になっている節すらある。
このような姿勢は、まさに“現状維持”を是とする「官僚思考」の政治スタイルではないか。
官僚思考を超えるには
政治家が、単なる制度運用者ではなく、時に制度を壊してでも変革を推進する「意思決定者」となるには何が必要か。
それは、ビジョンとリーダーシップだ。
そして、それを育むのは教育であり、また国民との対話を通じた政治文化の再構築ではないか。
地方自治体の首長たちの中には、霞ヶ関的な発想から離れ、大胆な政策に挑戦する者もいる。