記憶術を使いこなすコツと更なるテクニック

 ゲイツ氏は、この「記憶の宮殿」の技術は継続的な練習が必要だと強調する。一度宮殿を作って終わりではなく、定期的にその空間を訪れ、新しい情報で更新していく必要があるのだ。さらに、記憶力を鍛える際には、自分が本当に興味を持てるテーマを選ぶことが重要だという。退屈なテーマでは、脳は情報を記憶することに抵抗を示すからだ。ゲイツ氏は、複雑なデータを個人の趣味や情熱と結びつけることを推奨している。もし料理が好きなら記憶したい項目を食材に見立てて、頭の中のキッチンで物語を紡いでみてはどうだろうか?

「記憶の宮殿」以外にも、ゲイツ氏や認知科学の専門家が推奨する記憶力向上のための補完的な方法がいくつか存在する。

リズムと韻:情報を詩や歌のリズムに乗せる。九九を歌で覚えるようなものだ。

記憶術ストーリー:覚えたい事柄を使って、奇抜で馬鹿げた物語を作る。例えば、「パン、牛乳、卵」という買い物リストなら、「巨大なパンが牛乳パックを追いかけ、牛乳パックは卵の殻の中に隠れた」と想像する。

アルファベット法:各項目をアルファベットに関連付け(A=アボカド、B=自転車)、短い文を作る。

キーワード法:複雑な概念を頭字語や簡単な用語に要約する。

分散学習(間隔反復):覚えた内容を、1日後、1週間後、1ヶ月後といったように、徐々に間隔を空けながら復習する。

奇抜な連想:関連性が突飛であればあるほど記憶に残りやすい。例えば、『メガネ』という言葉を覚えるために、大きな『メガホン』を持った『ネコ』が応援している姿を想像するなど。

脅威の記憶術!ビル・ゲイツも実践する古代ギリシャ由来の“記憶の宮殿”とは?
(画像=イメージ画像 generated using QWEN CHAT,『TOCANA』より 引用)

これらのテクニックは単なるこじつけではない。科学的にも情報を鮮明なイメージや感情と結びつけると、記憶に重要な役割を果たす海馬や視覚野を含む脳の複数の領域が活性化されることが分かっている。これにより情報が忘れ去られるのを防ぐ強力な「記憶のフック」が作られるのだ。ゲイツ氏にとって、これらの技術を習得することは並外れた能力を誇示するためではなく、誰でも学び、活用できるツールを使いこなすことに他ならない。

 もし、「これは天才にしかできないことだ」と思っているなら、考え直した方がいいかもしれない。記憶力競技の参加者の多くは、トレーニングを始める前はごく普通の記憶力しか持っていなかったと明かしている。秘密は生まれ持った才能にあるのではなく、時を経て証明されてきた方法にあるのだ。ビル・ゲイツ氏が一つひとつ記憶の宮殿を築き上げながら世界に影響を与え続けているように。

文=深森慎太郎

提供元・TOCANA

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