ケロッグ氏はXで「元軍司令官として、攻撃目標の計画についてはある程度理解しているが、これは明らかに間違っている」と発信している。スムイ市中心部への攻撃は、米国のスティーブ・ウィトコフ特使がモスクワでプーチン大統領と4時間半にわたる長時間会談してから2日後に起きた。会談は友好的で生産的だったと報じられていた。スムイ市攻撃はロシア側の返答なのかもしれない。

スムイ市の攻撃について、欧州の指導者たちからも厳しくロシア批判が出ている。ドイツのショルツ首相は「野蛮な攻撃」と批判し、フランスのマクロン大統領は「ロシアだけが戦争の継続を望んでいることが改めて明らかになった」と述べている。

一方、イタリアのメロー二首相は「スムイ市のロシア軍の卑劣な攻撃がキリスト教徒にとって重要な聖枝祭の日に起きたことを忘れてはならない」と強調している。ゼレンスキー大統領もオンラインネットワークで「敵のミサイルが、普通の生活が営まれていた普通の通りを襲った。それだけではない。人々が教会に行く日、聖枝祭の日に起こったことだ。こんなことが出来るのはろくでなしだけだ」とプーチン大統領を非難している。

トランプ大統領は昨年の大統領選でウクライナ戦争の早期停戦を公約に掲げた。トランプ氏はウクライナ戦争を「バイデン(前大統領)が始めた戦争であって、私の戦争ではない」と主張する一方、「私ならば戦争を短期間で終わらせることが出来る」と豪語してきた。

それではトランプ政権発足後のウクライナの「その後」はどうか。米国はロシアに接近し、2月と3月にサウジアラビアでウクライナとロシアの代表者との会談を行った。同時に、ウィトコフ氏はモスクワ訪問前に、クレムリンに対し、より寛容な姿勢を取るよう求めるなど、トランプ政権のロシアへの融和的な姿勢が目立ち始めた。一応、ロシアとの交渉では、エネルギー関連施設への攻撃停止、黒海の安全航行確保で合意ができたが、プーチン大統領はウクライナとの無条件停戦案をこれまで拒否している。