つい先日までは春闘で沸いていました。2年連続で5%台の賃上げで大手企業の初任給の爆発的上昇が目についたのは記憶に新しいところです。物価高に追い付くか、と言われれば3月に発表になった2月の消費者物価指数は3.0%上昇なので一応、春闘はそれをクリアしています。もっとも99.7%の中小企業にはその恩恵がないとされますが、確実にトリクルダウン的に賃金引き上げは起きます。特に人口減の日本では賃上げをしないと労働力を確保できないので中小企業が「うちはとてもとても…」という甘えは許されないのです。賃金上げられないなら店を畳むか、という瀬戸際にあるとも言えます。

これを一部の人は経営者目線と称するかもしれませんが、そうではないのです。物理的に優秀な労働力が足りないので余力のある会社が高賃金で労働力を釣り上げている、それだけなのです。とすれば労働者は少なくとも何らかの賃金アップという報酬はあるはずなのです。それなのに政治家がこれは国難であり、物価高対策が必要というのは「本当かい?」と疑いたくなるのです。

一部の企業レベルでは確かに厳しいかもしれません。賃金は上げる、アメリカ向けは関税で売れないというアンコ状態だからです。一方で、アメリカ向けで苦しむのは日本だけではないのです。アメリカとビジネスしている世界中の企業は皆同じ境遇です。そしてその穴を埋めるべくプロダクトをどこに仕向けるかといえば日本は関税率も低いし、CPTPPもあるのです。日本市場は大いに解放されており、海外からの物品であふれる公算が高いのです。

日銀は現在の経済状態を悪いとは思っていません。故に金利を引き上げてきたし、本来なら5月ぐらいにはもう一度上げようか、というところにいるのです。たまたま関税問題に端を発した朝令暮改のトランプ氏発言に世の中が振り回されていることで利上げ判断を保留するかもしれませんが、企業業績は好調を維持しているのは事実です。