産経のオンライン版の見出しを見ていてムカついてきました。「立憲の消費税をめぐる党内分裂」、「森山幹事長発言を受けた現金給付思惑」、「自民党内の森山案 対 高市案の対立」、「れいわ大石共同代表の消費税廃止論」がトップ記事にずらり並びます。今年度予算が通過し、夏の参議院選が近づく中、各政党は祭りをしたいのでしょう。主義主張を述べる、ところが政党内でその意志は統一されることがなく、揉めに揉める、これが今政治の世界で起きている事実であります。

森山裕幹事長と高市早苗経済安全保障担当相 自民党HPより

いったいこの盛り上がりはどこから出てきたのか、これが正直、自作自演ではないかという気がするのです。石破首相の経済対策の失言報道は本年度予算を国会で討議している最中であったことから「お手つき」とされました。いざ、予算が通過すると各党、各政治家は選挙対策、特に自らが選挙に立つ立場となる参議院の議員はどんな飴玉を国民にお見せするかにかかってきます。世の東西を問わないといえばそれまでですが、声高に叫ぶ減税、現金給付は具体的に何を根拠にそう主張するのか、これがわからないのです。

日本という国は基本的にPreventive(予防的)措置を取らない国です。何かコトがおきてから対策をするというのが原則でした。これを前例主義と称する場合もありますが、要するに将来を予見してその対策を事前に行うという発想は日本には根付いていないのです。

ところが、今回の政治家の発想はまさに予防的措置であります。トランプ関税が日本経済に及ぼす影響は大きく、それを「国難」と首相は称しました。私にはこの発想が理解できないのです。民間企業は需要と供給、資本主義社会の荒波に揉まれ、優勝劣敗のチャレンジを日々行っているのです。リスクをどう評価するか、それをヘッジしているのか、これは民間企業が克服すべき課題であります。ところが時々、「官民」という言葉が走り、官主導で道を作るというわけです。これは官民ともに都合がよすぎる話でしかないのです。