この独特の毛色と模様は、北欧で親しまれる伝統菓子「サルミアッキ」に喩えられ、実際に「サルミアッキ」の名で呼ばれるようになりました。
ちなみに、伝統菓子のサルミアッキは強い塩味とアンモニア臭を特徴としており、味は「ゴムに塩と砂糖をまぶしたようだ」と表現されることもあります。
この独特の飴は、「世界一不味い飴」と評される一方、フィンランド人の中には「食べないと禁断症状が起きる」と言うほど好む人もいます。

ネコの「サルミアッキ」では、その独特な色と模様に対して「賛否が強く分かれる」というよりも、むしろ「見た人からは好評」のようです。
では、この模様のネコはどのようにして誕生したのでしょうか。
フィンランドの生物学者の間では、これが単なる偶然の産物ではなく、遺伝子による必然的な現象である可能性について議論が深められました。
特に注目されたのは、このグラデーションが常に同じパターンで現れ、複数の個体で再現性を持っている点でした。
これは遺伝的要因の存在を強く示唆するものであり、研究者たちはこの柄の遺伝的基盤の解明を目指すことになりました。
ネコのサルミアッキ柄の原因は、予想外の「遺伝子の突然変異」にあった
ネコの色は、主に黒(または濃色)とオレンジ(または赤系統)の2種類の色素から生じています。
つまり、私たちが見かけるネコの様々な色や模様は、希釈遺伝子によって薄くなったものや、それらの多様な組み合わせにより成立しています。
そのため研究チームは、サルミアッキも同様に希釈遺伝子が原因だと考えていました。
そこで研究チームはまず、サルミアッキ柄のネコ4匹を対象に、既知の白毛関連変異(W、WS、wg変異)の有無を確認しました。
しかし、すべての個体ににおいて、いずれの変異も認められませんでした。
そこでチームは、さらなる手がかりを求めてサルミアッキ柄のネコ2匹の全ゲノム解析に踏み切りました。
