こんな状況で、国民民主党は消費税の5%への減税を政府に申し入れた。今は完全雇用で消費者物価上昇率は3.7%、需給ギャップはプラスなので、これは景気対策ではなく間近に迫った参議院選挙対策である。
林官房長官に国民民主党の緊急経済対策を申し入れ。
先日、党首会談で石破総理に申し入れた内容と同じですが、その後、トランプ政権の関税政策で日本経済の不確実性が高まったことを受け、時限的な消費税減税(一律5%)についても申し入れました。
単一税率にすれば、インボイスも不要となります。 pic.twitter.com/h37jxOmqjV
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) April 11, 2025
いま日本が消費税を減税して毎年13兆円も財政赤字を増やしたら、日本国債に海外ファンドの空売りが殺到するだろう。日銀がそれに買い向かうと大量のマネーが市場に出て、インフレが加速する。
そして最大の問題は、日本国債を大量に保有している地方銀行に大きな評価損が出ることだ。1997年の山一証券倒産の後のように取り付けが起こり、全面的な金融危機になる。
あのときは担保が不動産だったから、長信銀がつぶれて100兆円をドブに捨てる程度ですんだが、今度の不良債権は国債である。日本政府は統合政府でみても約700兆円の債務超過だが、国債が消化できるのは政府の信認が強いからだ。
その信認がゆらぐと国債バブルが崩壊し、金利が上がる。国債を日銀が引き受けると大量のマネーが市中に出て、物価と金利がスパイラル状に上がる。インフレが5%になると年26兆円(消費税10%分)のインフレ税がかかり、5%の消費減税なんか吹っ飛んでしまう。
こんな状況で目先の票ほしさに財政赤字を増やせと要求する国民民主党は、アメリカの金融危機を輸入して日本を第三世界に堕落させる減税ポピュリストである。