20年以上前の教会法の改正により、宗教団体はエストニアの国家安全保障に脅威を与える海外の精神的指導者と公式に提携することが禁止される。モスクワ総主教キリル1世の名前は法律には記載されていないが、議会は2024年5月に既に決議の中でモスクワ総主教庁を「ロシア連邦の軍事侵略を支持する機関」と宣言していた。教会改正法によって「エストニア正教会」は新規則の発効から2か月以内に「モスクワ総主教区」を教会規則から除外する必要がある。
エストニア正教会は主にロシア語を話す住民で構成されている。「エストニア正教会」の広報担当ダニエル司教は最近、「教会員が自らの宗教的アイデンティティを保持することは非常に重要だ。その中にはロシア正教会との教会法上のつながりも含まれる」と説明する一方、コンスタンティノープル総主教区の「エストニア使徒正教会」との合併を拒否した。
エストニア政府は長年、ロシア総主教庁がロシアのウクライナ侵略戦争を公然と支持していることから、エストニア正教会とモスクワの完全な分離を要求してきた。エストニア正教会の長でロシア国籍を持つエウゲニ(レシェトニコフ)府主教は、当局が居住許可の延長を拒否したため、2024年2月にエストニアを出国しなければならなかった。
ロシアのウクライナ侵攻以来、旧ソ連・東欧圏の正教会はロシア正教会モスクワ総主教区主管から離脱する動きが加速している。例えば、ウクライナのゼレンスキー大統領は昨年8月24日、国内のモスクワ寄りのウクライナ正教会(UOK)の禁止に関連する文書に署名した。同大統領は「これによってウクライナ正教会はモスクワへの依存から守られる。独立している国は精神的にも独立しているべきだ」と述べている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。