好中球が自爆攻撃を行うには細胞内部である種の自爆シークエンスが承認される必要がありますが、ショウガの成分によって情報伝達物質の濃度に変化が起こり、結果的に自爆シークエンスが抑えられていたのです。

免疫機能が誤作動し、過剰な自爆が健康な細胞に対して行われるとしばしば症状が重症化し命にかかわります。
免疫機能が誤作動し、過剰な自爆が健康な細胞に対して行われるとしばしば症状が重症化し命にかかわります。 / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

時限爆弾で例えるならば、自爆スイッチを形成する回路に不正電流が流れ込み、スイッチが作動しなくなった状態と言えるでしょう。

ただマウスで観察された現象が人間でもそのまま起こるとは限りません。

そこで次に研究者たちは、人間の被験者を使った臨床試験(小規模)を行うことにしました。

7日間ショウガサプリメントを飲むだけで効果が現れた

イメージ図。人間の場合はショウガ抽出物そのままではなくサプリメントとして摂取してもらいました
イメージ図。人間の場合はショウガ抽出物そのままではなくサプリメントとして摂取してもらいました / Credit:Canva . ナゾロジー編集部

人間の好中球にもショウガは同じように作用するのか?

答えを得るため研究者たちは被験者に対してショウガの根から抽出されたサプリメントが配り、7日間にわたり毎日100㎎ずつ経口摂取するように求めました。

このショウガサプリメントには20%の濃度で「6‐ジンゲロール」が含まれていました。

(※この6‐ジンゲロールの濃度(20%)は市販されているショウガサプリメントとほぼ同じ値となっています)

すると、マウスの場合と同じように人間の好中球でもcAMPが上昇し、好中球の自爆攻撃が抑制されていることが判明しました。

この結果はショウガ抽出液はマウスと人間の両方で、好中球の過剰な活動を抑制できることを示しており、自己免疫疾患に対して効果が期待できることを示します。

また研究者たちは新型コロナウイルス感染症に対してもショウガの免疫抑制効果が役立つ可能性があると述べています。

新型コロナウイルスに感染すると、しばしば激しい免疫反応が起こり、臓器に大きなダメージが生じて死に至ることがあります。