国内純生産 = 国内総生産 – 固定資本減耗

国内純生産は、それぞれの経済活動で固定資産の維持費を差し引いた、企業や家計の正味の取り分を示します。

固定資産残高が多く、固定資本減耗が多い経済活動ほど、正味の国内純生産は目減りする事になります。

図3 経済活動別 国内純生産 日本OECD Data Explorerより

図3は日本の経済活動別 国内純生産です。

非常に特徴的なのが、製造業と不動産業がそれぞれ大きく目減りしている事です。

まず製造業に着目すると図1の国内総生産では圧倒的な水準でしたが、国内純生産では卸売・小売業に近い水準となっていて、2022年には逆転されています。

付加価値の総額では製造業が最も多い最大産業ですが、労働者の稼ぐ正味の純付加価値では卸売・小売業が最大という事になります。

不動産業も国内総生産に対して国内純生産は大きく目減りし、近年では専門・科学技術と保健衛生・社会事業に抜かれています。

近年では物価が大きく上昇していて固定資本減耗の負担が大きく、国内純生産が目減りしている影響も大きそうです。

4. 日本の国内純生産の特徴

今回は経済活動別の国内総生産、固定資本減耗、国内純生産についてご紹介しました。

日本は固定資産残高が多く、その減価分である固定資本減耗の負担が大きいのが特徴です。

特にその傾向は製造業と不動産業で大きいようです。

また、産業規模そのものは大きくないですが、電気・ガス・空調供給業や情報通信業も固定資本減耗の影響を大きく受ける産業と言えます。

固定資産への投資で付加価値が増えている面もありますが、裏を返せば投資が多い割に付加価値がそれほど稼げていない事にもなりそうです。

固定資産への投資を行い、固定資産で付加価値を増やしていく事も重要と言えますが、それ以上に労働者がより付加価値を稼げるように転換していく必要性を示唆しているようにも見受けられます。