ペルーのナスカ台地に広がる巨大な地上絵は、間違いなく地球上で最も謎めいた古代遺跡の一つだろう。誰が、何のために、どのようにして描いたのか。その正確な目的は、多くの研究者を長年悩ませてきたが、いまだ完全には解明されていない。

 上空からしか全体像を把握できない巨大な図形、空の星座を模倣しているかのような配置、未来の世代へのメッセージなのか、それとも単なる古代アートなのか…。もしアートだとしたら、なぜ地上からは全貌が見えない形で描かれたのだろうか。そんな数々の疑問が渦巻くナスカの地に、さらなる謎を投げかける驚くべき発見が報告された。なんと、古代インドの「マンダラ」とされる図形が見つかったというのだ。

人里離れた高原に描かれた宇宙の縮図

 ナスカの地上絵といえば、800以上の直線、300もの幾何学図形、そしてハチドリやサルなど70種類にも及ぶ動植物のデザインが有名だ。中には長さ9マイル(約14.5km)にも達する線や、幅200メートルに及ぶ巨大な図形も存在する。これらのデザインには初期の応用幾何学が見られるという説や、地上絵の線の上では磁場や電気伝導率が周囲より8000倍も高いという測定結果(ドレスデン大学の研究者による主張とされる)も報告されており、その謎は深まるばかりである。

 しかし、今回注目されているのは、それらの中でも特に不可解とされる「マンダラ」の図形だ。人里から遠く離れた乾燥した高原の頂上に描かれたそれは、見る者を困惑させるという。直径約55メートルの円を中心に、同じ直径の同心円、さらに直径約6メートルの小さな円が複数配置され、戦略的に置かれたと思われる穴もいくつか見られる。その姿は、極めて精密かつ詳細に描かれているようだ。

ナスカの地上絵に新たな謎?ペルーの古代遺跡に刻まれたインドの曼荼羅(マンダラ)
(画像=画像は「The Ancient Code」より、『TOCANA』より 引用)

「マンダラ」とは、本来インド発祥の宗教における儀式的なシンボルであり、宇宙全体を表現するものとされる。今日では宇宙や世界を図式化した幾何学模様全般を指す言葉としても使われている。古代サンスクリット語で「円」を意味し、正方形や三角形が組み合わされることはあっても、全体としては円を中心とした構造を持つのが特徴だ。

 古代ヒンドゥー教徒が霊的な目的で使い始めたとされるが、一般的には仏教のマンダラがよく知られているだろう。しかし、なぜそのマンダラが、地球の反対側とも言えるペルーの、それも人里離れたナスカの高原に存在するのだろうか?一体誰が、何のために描いたのか?現代の考古学者たちは、この文化的な飛躍を説明できずにいる。