「効率10倍」は「効果10倍」ではないが、AIの力で効果向上を目指す
ここで注意が必要なのだが、「効率が10倍になる」というのは、Fireflyでコンテンツを素早く増やせるからではない。それはあくまで、マーケティングキャンペーン向けの素材を用意するという、仕事の一部にすぎない。また、「構築する時間が10倍速くなった」のであって、「10倍の効果があった」ではない点も重要である。
マーケティングキャンペーンのパーソナライズが進み、必要な素材の量が増えたとしても、マーケティングにかけられる予算は増えるわけではない。求められているのは広告効果であり、広告を作るはそのための手段でしかないからだ。それに、どの国も景気がいいわけではない。そのためにアドビは、管理ツールである「Adobe Experience Cloud」に、マーケティングキャンペーンの生成と管理、キャンペーンの成果を把握するツールを組み合わせている。
そこで使うのも生成AIだ。プロンプトに自分が行いたいキャンペーンの内容を入力すると、それに合わせた施策が作られ、どのような広告コンテンツを作るべきかが指示される。それらを実行して行くと、ページビューなどの効果が提示される。さらに生成AIに相談すれば、「キャンペーンをどう修正すべきか」という方針を錬ることもできる。
このようなシステムの狙いは「確実なキャンペーンを1つ作ること」ではない。生成AIは魔法ではないので、人間より精度の高いオリジナルなコンテンツやキャンペーンを自動で作ってくれるわけではない。だが、一般的なキャンペーンを行う上での手間を大幅に減らすことはできる。結果として同じコストの中でより多くのプランを実行できて「キャンペーン成功の確率を上げられる」というのが同社の狙いだ。

もう一つ、アドビの主張には重要な点がある。ツールの効果として同社は「ダイレクトメールの開封率が30%上がった」としている。たくさんの広告を打っても、効果が紐づいていなければ意味はない。予算や人手を有効に使うためにも、顧客に好感を持たれるためにも、広告は効果的なものであるべきだ。ネット広告は質の低下が懸念されている。この記事につく広告がどんなものか、筆者は把握していないが、やはり「効果のある」「好かれる」広告であるべきだろう。
(文=西田宗千佳/ITジャーナリスト)
提供元・Business Journal
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?