広域からの集客がキーワード

 では、そこから読み取れる経営学的な示唆とは。

「前述したコストコの特徴から裏返して考えると、上場企業としてのコストコが成長するためには新店を開店して会員数を増やすことが必要条件です。その際、新店で新会員を増やすためにはガソリンが安いというメリットを最大に生かすことが戦略になります。実際、コストコの国内36店舗のうちGS併設店は26店舗になるのですが、この4~5年に新規開店した店舗はすべてGS併設店になっています。

 今後、GSの重要度はさらに増します。というのも国内では最近でも大都市圏の新規出店として大阪の門真、名古屋の守山、福岡の小郡などの倉庫店が開店しましたが、大都市近郊での出店候補地はそろそろ限界がきています。これからはそういった大都市圏よりも地方都市近郊の出店余地のほうが大きいのです。近年ですと群馬明和倉庫店、沖縄南城倉庫店や山梨県の南アルプス店(4月オープン)などがその典型です。

 その特徴は、広域からの集客がキーワードになることです。具体的にいうと、群馬明和倉庫店は明和町という人口が非常に少ない町に開店しました。産業振興のために町長がコストコ本社に直談判して誘致した店舗です。田んぼの中にぽつんと誕生した店舗ですが、実は絶妙な立地なのです。というのも、群馬県館林市、栃木県佐野市、埼玉県行田市や熊谷市などからそれぞれ車で30~40分圏内にあるのです。

 コストコのターゲットは、それらの周辺自治体に住む中流の3~4人家族で、車を持っていて大きな冷蔵庫が自宅にあるような人たちです。そういったターゲット層にわざわざ遠方から来てもらって新規会員になってもらうには、ガソリンが会員価格でびっくりするほど安く入れられるという条件は、今後ますます重要性を増してくるのです」

(文=Business Journal編集部、協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)

提供元・Business Journal

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