研究主任のロバート・ヘインソーン(Robert Heinsohn)氏は「彼らのドラム演奏はそれぞれに個性があり、ヤシオウムは遠く離れた場所でも誰が演奏しているのかドラムのリズムから識別できることが先行研究で分かっている」と話します。
しかしドラム演奏のもっとも重要な目的は、繁殖パートナーとなるメスへのアピールのようです。
そしてリズム以外にも彼らの行動で注目されているのが、演奏時に用いるドラムスティックの多彩さです。
ヘインソーン氏らは、バリエーション豊かな演奏を行うヤシオウムたちが、それを奏でるドラムスティックをどのように選択するか知りたいと考えました。
そこで研究チームは、ヤシオウムの生息地に赴き、彼らの愛用するドラムスティックの違いを調べることにしたのです。
自分に合った最高のドラムスティックを作っていた!
チームは丸2年間、ヨーク岬半島にあるクティニ・パヤム国立公園(CYPAL)を歩き回り、ヤシオウムの鳴き声やドラム演奏に注意深く耳を傾けて、辛抱強く追跡調査をつづけました。
その間に、ヤシオウムの捨てたドラムスティックを合計256個(木の棒227本、種子のさや29個)集めることに成功しています。
(実はヤシオウムは演奏が終わると、ロックミュージシャンがライブの最後に楽器を叩きつけるように、ドラムスティックを地面に投げつけるのだそう)
そして13羽が捨てた楽器を比較したところ、ドラムスティックの好みの形や長さはヤシオウムごとに大きく異なることが判明したのです。
観察の結果、あるオスは長い木の棒を好み、また別のオスは短くて太い木の棒を好み、それから木の棒ではなく丸い種子のさやを一貫して愛用するオスもいました。
