その結果、周波数100Hz、音量65.9dBaの純音(1つの周波数で構成されている単純な音)が最も効果的であり、前庭機能を有意に高めることがわかりました。
研究チームはこの音を『sound spice(サウンドスパイス)』と呼んでいます。
次に彼らは、生きたマウスに100Hzの音を5分間聞かせました。
その後、縦揺れと横揺れを与えて「乗り物酔い」を誘発し、小さな平均台を歩かせてテストしました。
その結果、音を聞かせなかった対照群と比べて、マウスは2時間以上にわたり、乗り物酔いを軽減できていました。
マウスの次は、人間です。
1分間の音が車酔いを和らげると判明!
人間の被験者には、事前に1分間の『サウンドスパイス』を聞いてもらいました。
その後、ブランコやドライビングシミュレーター、実車での走行により、長時間の揺れを体験してもらい、乗り物酔いを誘発しました。
評価には、姿勢記録、心電図、乗り物酔いの質問票などが用いられました。

その結果、事前にサウンドスパイスを聞いた人は、対照群と比べて、乗り物酔いにみられる「ふらつき」「吐き気」などの症状が軽減されることを発見しました。
質問票でも「気持ち悪い」「だるい」といった項目のスコアが減少しており、被験者自身も効果を実感していました。
つまり、事前にたった1分間、100Hzの純音を聞くだけで、乗り物酔いが改善されたのです。
研究チームは、「独自の音(サウンドスパイス)に短期的にさらされても健康リスクは最小限」だと述べています。
また「刺激レベルは騒音の安全基準をはるかに下回っているため、適切に使用すれば安全だと考えられる」と続けています。