懸命の治療の甲斐もあり、クチバシに取り付けられた外部サポートは取り外され、再生しきれていないクチバシの欠損部には歯科用アクリルが装着されています。

クチバシの再生が確認される!

390のケアにおいて最も重要とされたのが、栄養とストレス管理でした。

390のような鳥のケラチンの再生を促すためには、良好な栄養状態とストレスの少ない環境が最も重要です。

「ストレスはクチバシの成長を妨げます。動物が“生き延びるためのモード”に入ると、余分なエネルギーがストレス対処に使われ、クチバシの再生に回すエネルギーがなくなってしまうからです」と同団体のキラ・クレベ(Kira Klebe)氏は述べています。

390には猛禽類専用のビタミンやカルシウムサプリメントが与えられ、栄養がクチバシの再生にも使われるように調整されています。

また、2025年2月以降は施設内でも最大規模のリハビリ用飼育ケージに移され、他のハクトウワシと交流しながらも、人間との接触を最小限に抑えた静かな環境が整えられました。

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再生が確認されたクチバシ/ Credit:World Bird Sanctuary(Facebook)

そして2025年4月5日、ついにクチバシの右側にケラチンの再生が確認され始めたのです。

最初に治癒した部位から少し粗い状態で成長が始まっており、今後はドリル工具で形を整えながら自然なクチバシに近づけていく方針です。

完全な再生にはまだ時間がかかる見込みであり、野生への復帰にはあと1年のケアが必要とされています。

骨の治癒が終わり、ケラチンの成長も始まった今、あとは基本的に“待つ”段階に入りました。

スタッフは古いケラチンがどう磨耗していくかを注意深く観察しながらも、できるだけ手を出さず、ストレスを避けるようにしています。

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参考文献

Bald eagle’s beak healing following gunshot wound
https://www.popsci.com/environment/bald-eagle-healing-gunshot/