かつて自民党政権は公共事業で総需要を拡大したが、それも2000年ごろ限界に来て、その後は消費者への給付金で総需要を拡大するようになった。しかし2020年のコロナ給付金はほとんど消費に回らず、預貯金となってその後のインフレの原因になった。

そこで所得減税が出てきたわけだが、大蔵省が消費増税の代わりにやった所得減税のおかげで、所得税の平均税率は約10%と先進国で最低グループである。これ以上さげる余地はない。

それも一時的な定額減税ならともかく、基礎控除のような根幹をいじると納税者が大幅に減り、課税ベースが狭くなって現役世代に負担が集中する。

消費減税に至っては論外である。社会保障給付が毎年3兆円増える日本で、その財源になっている消費税を減税することはありえない。それは社会保険料を負担する現役世代の負担をさらに重くするのだ。

「消費税率を下げたら消費税収が上がる」というフリーランチもありえない。2010年代の税収をみれば明らかなように、消費税率を上げれば消費税収は上がるのだ(一般会計税収が減った原因は所得減税)。

時事通信

こんな当たり前の話は、玉木氏は知っているはずだ。それを知らないとすれば財務官僚の知能程度を疑うし、知っていながら選挙向けのリップサービスで有権者をだましているとすれば政治的な詐欺である。