撮影された写真がIUCNの専門家グループに送られることで、正式に「コツメカワウソである」と確認されたのです。

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ネパールで185年ぶりにコツメカワウソが発見される。弱った子供だった / Credit:IUCN

ちなみにコツメカワウソが発見された場所は人間の生活圏にほど近く、洗濯や釣り、採石が日常的に行われる川辺でした。

それでも彼らは戻ってきたのです。

なぜでしょうか?

近年、ネパールでは一部地域で水質の改善や生態系回復の兆しが見られています。

また、カワウソという種自体が、意外にも「人間活動に適応する力が強い」ことも分かってきました。

彼らは柔軟な生息地選択が可能であり、浅瀬で餌となる魚や甲殻類が豊富な場所であれば、 比較的限られた空間でも生活を維持することができます。

そのような柔軟性から、報告書では「個体数が少ない状態から回復する能力を備えている」と示されています。

とはいえ、今回の発見が「問題解決」を意味するわけではありません。

乱獲や農薬の流出、森林伐採、違法漁など、 コツメカワウソたちを取り巻くリスクは今もなお高まっています。

研究者たちはこの発見を機に、 「全国規模でのカワウソ調査」や「重点保護区域の設定」を求めています。

ネパールはこれまでサイやトラの保全に成功してきた実績があります。

次は、小さなカワウソがその成功例に加わる番なのかもしれません。

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参考文献

Confirmation of the Presence of Asian Small-Clawed Otter Aonyx cinereus in Nepal after 185 Years.
https://iucnosgbull.org/Volume42/Shrestha_et_al_2025.html

Presumed Extinct: World’s Smallest Otter Found in Busy Nepal River After 186 Years without a Sighting
https://www.goodnewsnetwork.org/presumed-extinct-worlds-smallest-otter-found-in-busy-nepal-river-after-186-years-without-a-sighting/