寄ってきた魚は海底めがけて素早く潜る。サオは満月のままトップから2段目までが海中に引きずり込まれる。「ヤバイ、やられる」とっさにリールのレバーブレーキを緩めて最小限のミチイトを送りだしながら泳ぐ魚の頭の方向にサオを倒す。サオ尻をお腹に当てて絞り上げる。折れそうだ、何回も突っ込む。

都度、魚の頭側を意識、魚の泳ぐ力を利用して階段を一段ずつ上るように間合いを詰めていく。茶色い魚が浮いてきた。とても大きい尾長グロだ。「慌てるな!焦るな!」自分に言い聞かせる。主導権は自分にある。

慎重にやり取り

口太(クチブト)グロは海面で空気を吸わせるとすぐに弱るが、尾長グロは空気を吸わせると怒って最後の力を振り絞り猛烈に反転してハリスを切って逃げていく。もしハリをのまれていたらサオを立てることでハリスが尾長の鋭い歯に当たり切れる。海面に浮かすと魚の重さで弱ったハリスが切れてバラす。

「大物獲ったでごわす!」磯フカセ釣りで64cm3.3kg尾長グロ堂々浮上【鹿児島】釣り座の様子(提供:週刊つりニュース西部版APC・新増初生)

そうならないように尾長を海面下1mくらいに置いてサオを斜め45度に倒して尾長を8の字を書くように泳がせ続けて完全にグロッキー状態にしてタモを海面下50cmくらいに差し込む、そこへ尾長を誘導してすくった。

64cm3.3kg尾長グロ浮上

「よっしゃー」。

すごく重たい。安全な広い所に移動、メジャーで測ると64cm、自己記録更新。「獲ったでごわす!」雄たけび一発。万歳。嬉しすぎる。思わずジャンプした。重量3.3kg、抱卵は指2本くらいで産卵まではもう少しかかりそう。

佐多岬の尾長グロ釣りは5月の最盛期に向けて始まったばかり。皆さんもこの機会に自己記録更新に挑戦してほしい。

<週刊つりニュース西部版APC・新増初生/TSURINEWS編>