オーストラリア国内で核関連物質を無許可で輸入することは、最大10年の懲役刑が科される重大犯罪に該当します。

報道では、リデン氏が輸入しようとしたプルトニウムは合法的な所有許可や通関申請が一切なかったとされています。

プルトニウム輸入で最大10年の懲役刑!?一線を越えたマッドサイエンティストの末路とは

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リデン氏側は、収集好きの科学オタクだと主張 / Credit:Canva

プルトニウム(Pu)は原子番号94の人工放射性元素で、原子力発電や核兵器の材料として広く知られています。

自然界にはほとんど存在せず、主にウランの中性子捕獲反応によって生成されます。

非常に高い放射性を持ち、人体に取り込まれると骨や肝臓に蓄積され、長期的な健康リスク(がんなど)を引き起こす可能性があります。

ゆえに国際的にも厳重な管理が必要であり、輸送・保管・所持には特別な許可が必要です。

リデン氏が輸入を試みたプルトニウムは微量でしたが、個人の所有は違法行為となります。

リデン氏の弁護士は公判で、彼の行動が「純粋に科学的関心から来たものであり、国家安全保障に対する脅威ではなかった」として、情状酌量を求めました。

彼は周期表だけでなく、切手や紙幣、硬貨の熱心な収集家でもありました。

一方で検察側は、いかに個人的な趣味であっても、核物質の取引が容易であると誤解されるような前例を作ることは社会的に危険であると主張しています。

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法の一線を越えたマッドサイエンティストは犯罪者である / Credit:Canva

SNSではこの事件をめぐりさまざまな反応が見られました。

「狂気の科学愛」「冗談かと思ったら本当だった」「規制は当然」といったコメントが飛び交い、事件は科学界隈でも話題となっています。

現時点でリデン氏に対する判決は下っておらず、2025年4月11日に裁判所から刑が言い渡される予定です。

彼が夢見た周期表の“コンプリート”は、「犯罪」であり、それが叶うことはありませんでした。