研究者たちはまず、正確な情報提供と教育の必要性を強調しています。
現在、若者が首絞めセックスに関する知識を得る場はSNSやポルノなどに偏っており、そこで語られるテクニックや安全策は科学的根拠に乏しい場合が多いからです。
また、BDSMの専門家や医療従事者からも「リスクが高すぎて推奨できない」という声が根強く、医学的見地から安全を保証できる基準は確立されていません。
さらに、首絞めセックスを含む“性的リスク行為”全般において、同意や信頼以前に「どのような危険があり、それをどう最小限にするか」を学ぶ機会を作る必要があると考えられています。
日本でも性的同意の重要性が認識されつつありますが、その枠組みに「高度に危険なプレイ」をめぐるリスク啓発をどう組み込むかは、まだ大きな課題といえます。
総じて、首絞めセックスは「最も慎重に向き合うべき行為の一つ」であり、自分と相手の命に関わる重大なリスクがあることを忘れてはいけません。
今回の研究が強調するように、たとえ同意や信頼があっても深い理解と対話が欠ければ危険を軽視しがちです。
首絞め行為のリスクをより正確に伝え、医学的知識や応急処置の必要性などを包括した情報が広く共有されることが、今まさに求められているといえるでしょう。
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元論文
Choking/Strangulation During Sex: Understanding and Negotiating “Safety” Among 18-35 Year Old Australians
https://doi.org/10.1007/s10508-025-03097-3
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。