今回の研究は、オーストラリア国内の18~35歳を対象に、大規模なオンラインアンケートを行うところから始まりました。

アンケートを通じて「首絞めセックス(チョーキング)」に関する経験や考え方を尋ねたところ、5,000人を超える回答が集まり、その中で安全性やリスクについて述べていた約1,500人分の自由記述を詳しく分析したのです。

まず理解しておきたいのは、回答者のバックグラウンドが実に多様だったという点です。

首絞めセックスを頻繁に取り入れているという人もいれば、「試したことはあるが怖くてやめた」「動画では見たことがあるけれど、自分では抵抗がある」など、体験の有無や意見は千差万別でした。

ところが、分析を進めると、そうしたバラバラな声の中にいくつかの共通パターンが浮かび上がってきたのです。 

研究チームはこれを大きく4つのテーマに整理しています。

1つ目のテーマ:「首絞めは適切に行えば“安全”だ」という認識。 

多くの回答者が「とにかく強く圧迫しなければ大丈夫」「軽く首に手を添えるだけなら問題ない」といった言葉で表現し、「首絞めは危なく見えてもテクニック次第で安全にできる」と考えていました。

たとえば「気管を潰さずに首の側面だけを押さえれば大丈夫」という自己流の対策を挙げる人もいたのです。

しかし、このような意見の背景には「実際にどの程度の力がどんな影響をもたらすか」についての科学的知識が不足している可能性があると、研究者たちは見ています。

2つ目のテーマ:「圧力のコントロールが鍵」という考え方。

首絞めを“安全”だと信じる人々の多くが、「圧力(力の強さ)や時間をうまくコントロールすれば大丈夫」と述べていました。

「短い時間だけ絞めてすぐに緩めればセーフ」「首の正面ではなく左右を押さえるようにすれば平気」という自己流ルールに頼るケースも少なくありません。

しかし、専門家によれば短時間であっても酸素が十分に行き渡らなくなる可能性はあり、遅発性の脳ダメージが起こるリスクをゼロにはできません。