アメリカのマサチューセッツ大学(UMass)で行われた研究によって、熱力学の法則の例外”のようにみえる挙動が確認されました。
新たな現象が確認されたのは、水と油のように液体が分離する世界に出現した形状回復液体と研究者たちが呼ぶもので、この液体によって形成される形は「ギリシアの壺(Grecian urn)」に似ており、一旦壊れてもすぐに復活することも可能です。
この水と油の境界の動きが、教科書的な熱力学の記述から著しく逸脱していたのです。
研究者たちはこの不可思議な振る舞いの鍵が、磁性粒子同士の強い相互作用にあると指摘ししつつも、プレスリリースのタイトルでも「熱力学の法則の例外を発見(Finds Exception to Laws of Thermodynamics)」と述べており、かなり強気です。
いったいなぜ 熱力学の法則に反しているような挙動がみられるのでしょうか?
研究内容の詳細は『Nature Physics』にて発表されました。
目次
- 油と水は混ざらない? 混合の常識が覆る時
- 振ってもすぐ分離して壺の形に戻る液体の秘密
- 本当に熱力学を破ったのか? カギは“磁力”にあった
油と水は混ざらない? 混合の常識が覆る時

私たちの身の回りには、互いに溶け合わない液体同士を混ぜ合わせてつくる“乳濁液(エマルジョン)”があふれています。