この結果は、数学者ディアコニス氏の2007年の研究結果と一致しています。

コイントスにはほんの僅かな偏りがあることを証明したのです。

46の異なるコインが使用された
46の異なるコインが使用された / Credit:Canva

では、この事実を知っていることで、私たちにはどれくらいのメリットがあるのでしょうか。

バルトシュ氏は、次のように述べています。

「コイントスの結果に1ドルを賭けて(つまり参加費1ドルで負ければ没収、勝てば2ドル獲得)、その賭けを1000回繰り返した場合、平均して19ドル稼げます

1回だけの勝負だと負ける可能性も高いですが、何百回以上もの複数回の勝負であればこの僅かな差がじわじわと響いてきます。

賭け金が大きければそれだけ利益も大きくなるため(例えば1000ドル賭けた勝負なら1万9000ドル:約280万円の利益)、いくらか夢があるように思えるかもしれません。

この事実を知ったあなたは、今後コイントスする際には、コインが弾かれる前にどちらが上を向いているかをチェックし、それと同じ側を選べば有利になるはずです。

ただ実物のコインを使ったコイントス・ギャンブルの勝負に1000回も連続で乗ってくれる人はいないでしょうが。

僅かでも勝率を揚げたい場合は、弾かれる前のコインに注目しよう
僅かでも勝率を揚げたい場合は、弾かれる前のコインに注目しよう / Credit:Canva

また今回の実験は、様々な人と硬貨で実施しているため、(現実の状況には近いかもしれませんが)条件にばらつきがあることを考慮すべきです。

実際研究チームは、コイントスの仕方と結果は人によってばらつきがあり、同じ面が出やすい人もいれば、全くその傾向が無い人もいたことを指摘しています。

とはいえ、数学的に証明されていた理論を、実際実験して再現できたというのは重要な事実でしょう。

多くの人たちは、このような手間のかかる実験をわざわざやることの意義に疑問を持つかもしれません。

しかし理論的な予測は理想的な条件で計算された結果であって、現実どうように振る舞うのかは実際やってみなければわかりません。