上から見ると一見普通のシロアリに見えますが、横から見るとA. carrijoiの本当の姿が分かります。
A. carrijoiはスリムな頭と体や脚を持っていますが、膨張した腹部がそれら本物の姿を覆い隠しているのです。
そしてこのシロアリのレプリカは非常に精巧であり、シロアリの頭部・腹部だけでなく触角や脚まで存在しています。
研究チームは、A. carrijoiの口は小さいため、他のハネカクシのように卵や幼虫を食べたりはしないと考えています。
一方、働きアリは相互に口で消化された食物を与える性質があり、これによって栄養やフェロモンなどを与えたり交換したりしています。
そこでA. carrijoiは、自分が擬態して仲間だと錯覚させることで、他のシロアリから栄養をもらうことにしました。

しかしシロアリの働きアリと兵隊アリには眼がありません。
彼らは「見て判断する」ことができないのに、どのようにA. carrijoiを仲間だと錯覚するのでしょうか?
シロアリたちは視覚に頼らずとも、互いに触れ合った時に、その形や大きさ、表面の質感から仲間だと判別できます。
また仲間や卵に自らが分泌する化学物質を塗布する習慣があり、これが仲間や卵を見分ける助けになるようです。
実際、卵の偽物をこの卵認識物質でコーティングすると、アリたちは気づかずに卵の偽物を巣へと持ち帰るようです。
そしてA. carrijoiも同様の手法を用いているのかもしれません。

シロアリたちがA. carrijoiの腹部の精巧なレプリカを触ると、その形状から仲間だと錯覚するのでしょう。