ある生物が何かに姿を似せることで他の生物を騙す「擬態」は、様々な種に見られます。
彼らは捕食者から身を守ったり、逆に隙をついて獲物を捕食したりするために擬態するのです。
そしてその中には、エサを恵んでもらうための擬態も存在するようです。
最近発見された甲虫「Austrospirachtha carrijoi(またはA. carrijoi)」の腹部はシロアリに似ており、これによってシロアリを騙し、エサをもらったり盗んだりすると分かりました。
ブラジル・サンパウロ大学(USP)に所属する昆虫学者ブルーノ・ジルバーマン氏ら研究チームによって報告されており、その詳細は、2023年8月23日付で動物分類学の学術誌『Zootaxa』に掲載されました。
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- シロアリに擬態する新種の甲虫が発見される
シロアリに擬態する新種の甲虫が発見される

研究チームは、オーストラリア北部に生息する甲虫Austrospirachtha carrijoi(またはA. carrijoi)を発見しました。
これはハネカクシ科(Staphylinidae)の中でも希少なAustrospirachtha属の新種です。

ハネカクシの中には、軍隊アリの姿に似ている種が存在しており、アリと一緒に行進してその卵や幼虫を食べたりします。
また共生という形をとって、アリからエサをもらったり盗んだりするケースもあるのだとか。
今回新たに発見されたA. carrijoiも、同じく擬態によってアリからエサをもらいます。
ただし、体全体がアリに似ているのではなく、腹部だけを肥大させてシロアリに擬態しています。
