オーストラリア・チャールズ・ダーウィン大学の研究者で、ワニの生態や行動に関する専門家であるキャメロン・ベイカー博士は、「オスのワニは、ヘリコプターの音を縄張りを主張する他のオスのワニが出す音と勘違いし、その反応として交尾行動を活性化している可能性がある」と指摘しています。

ワニがこの音をどのようにコミュニケーションの手段として使用しているかはまだわかっていませんが、ワニは低い周波数の鳴き声を出すために体全体を振動させることが推測されています。

様々な要因が重なった結果の一斉交尾だったようです
様々な要因が重なった結果の一斉交尾だったようです / Credit:canva

しかし、オシェア教授は「通常、ワニの交尾は最適な巣作りの時期に合わせて行われ、クーラナ・クロコダイル・ファームが位置するオーストラリア北部では、10月がワニの交尾の最適な時期である」とも説明しています。

どうやら今回ワニが一斉に交尾を始めたのは、チヌーク・ヘリコプターだけが原因というわけではないようです。

低空飛行したヘリコプターが生み出した騒音、気圧の変化、低周波、そして繁殖期が近かったことなど、複数の要因が重なり合ったうえでの騒動だったと考えられます。

それにしても3000匹以上ものワニがいるワニ園で、一斉に交尾が始まるとなると、その光景は圧巻だったでしょう。

しかし、いくら繁殖期が近かったとはいっても、本来雷雨の中で交尾をするはずだったワニたちからしてみると、生まれてくる子供を危険にさらす可能性があるため、今回のチヌーク・ヘリコプターの低空飛行はいい迷惑だったのかもしれません。

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参考文献

‘They mated like mad’: Low-flying helicopter sparks massive crocodile orgy in Australia
https://www.livescience.com/animals/alligators-crocodiles/they-mated-like-mad-low-flying-helicopter-sparks-massive-crocodile-orgy-in-australia