くしゃみの際に発生する飛沫の数はおよそ40,000個にもなるといわれています。

これらの飛沫には比較的大きな粒子も含まれるため、空気中に長時間留まることは少ないものの、勢いよく広範囲に拡散しやすい特徴があります。

一方、咳は気管や肺の中に入り込んだ異物を排出するための防御システムです。

風邪をひいたときや喉に食べ物のカスが引っかかったとき、さらには煙や冷たい空気を吸い込んだときなどに発生します。

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くしゃみと同じように、咳も脳に咳中枢というものがあり、迷走神経(vagus nerve)を通じて信号が送られそこで制御されています。

気道のセンサーが異物を感知すると、脳に「排出せよ!」という指令が送られ、横隔膜と肋間筋が収縮し、声門が閉じることで肺に溜めた空気の圧力が急上昇します。

そして声門が開放されると、時速100キロ以上の勢いで空気が噴き出すのです。

この強烈な気流が、気道にたまった粘液や異物を押し出されます。

咳の際に発生する飛沫の数は約3,000個とされています。

くしゃみに比べて飛沫の数は少ないものの、咳は非常に小さい粒子が排出されやすいという特徴があります。

そのため咳による飛沫は長時間空気中を漂いやすく、特に密閉空間で感染リスクを高める可能性があるとされています。

ここまでの説明を聞く限り、咳とくしゃみはほとんど同じ反応であるように見えます。

しかし咳は咳払いなど意識的にできる一方、くしゃみを意識的にやろうと思ってもできません。これはどういう理由なのでしょうか?

咳は我慢できるのに、くしゃみは難しい理由

くしゃみと咳の大きな違いは、そのコントロールのしやすさです。

例えば、人前で咳を控えようとすると、ある程度は抑えられます。

しかし、くしゃみはほぼ完全に反射で起こるため、意識的に止めるのはかなり難しい行為です。

異物が鼻粘膜を刺激すると、脳が即座に反応し、瞬間的にくしゃみを引き起こします。