「スイッチ」の発見:青い瞳を生んだ遺伝子変異

 研究を主導したハンス・エイバーグ教授は、「もともと、我々は皆、茶色の目を持っていました」と語る。「しかし、我々の染色体上にあるOCA2遺伝子に影響を与える遺伝子変異が起こり、文字通り茶色の目を作る能力を『オフ』にする『スイッチ』が作り出されたのです」。

 長年、研究者たちは目の茶色の色素(メラニン)の量を決定するOCA2遺伝子そのものに、青い目の原因があると考えて研究を進めてきた。しかし、実際には、青い目を生み出す遺伝子変異は、まったく別の「HERC2」と呼ばれる遺伝子に起因することが判明したのだ。このHERC2遺伝子の変異が「スイッチ」の役割を果たし、OCA2遺伝子の働きを抑制。その結果、虹彩のメラニン生成が減少し、茶色の目が青色へと「薄められる」という仕組みだ。

全員が持つ「同じ変異」共通祖先の証

 では、なぜ研究チームは、これが「たった一人の共通祖先」に繋がると結論付けたのだろうか? その理由は驚くほどシンプルだ。地球上に存在する、すべての青い目の人々が、例外なくこのHERC2遺伝子の全く同じ変異を持っているからである。これは、この変異が歴史上ただ一度だけ起こり、その変異を持つ最初の一人から子孫へと受け継がれていったことを強く示唆している。

青い目を持つ人々は「たった一人の祖先」から始まった!?
(画像=Image by Pete Linforth from Pixabay,『TOCANA』より 引用)

 さらなる研究が必要ではあるものの、この変異は人類がアフリカからヨーロッパへ移動する過程で広まった可能性があると考えられている。これが主にヨーロッパ系の祖先を持つ人々に青い目が多い理由を説明する一助となるかもしれない。

 ちなみに、緑色の目を持つ人々は、虹彩のメラニン量が少ないという点では似ているが、これは青い目の遺伝子変異とは異なるメカニズムによるものだという。エイバーグ教授は、「このことから、すべての青い目の個人は、同じ祖先に繋がっていると結論付けることができます。彼らは皆、DNAのまったく同じ場所にある同じスイッチを受け継いでいるのです」と付け加えた。

 青い目を持つ人々、その瞳の奥には数千年前に生きた一人の祖先から連綿と受け継がれてきた、壮大な人類の物語が秘められているのかもしれない。

提供元・TOCANA

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