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AIが読み解くウイルスの未来図
世界中を混乱に陥れた新型コロナウイルス。その記憶がまだ新しい今、研究者たちは次なるパンデミックへの備えを急いでいる。そうした動きの中で、ワシントン州立大学の研究チームが開発したAI(人工知能)によって、新たなウイルス拡散のホットスポットと“潜在的な宿主動物”が明らかになった。
このAIモデルは、ウイルスの遺伝情報、宿主となり得る動物の特徴、さらに地理的条件を複合的に解析し、感染拡大の可能性を数値化するもの。特に注目されたのは「オルソポックスウイルス」という天然痘やサル痘に類似する、重大な感染症を引き起こすウイルス群である。
研究によると、東南アジア、赤道アフリカ、そしてアマゾン地域といった生物多様性の高い地域に、ウイルス発生のリスクが集中していることが判明した。これらの地域は、感染源となる動物の生息密度が高い上、小児期に天然痘ワクチンを接種していない人が多く、ウイルスに対する防御が弱いと考えられている。
身近すぎるリスク、ペットが「脅威」になる日 さらに衝撃的なのは、AIが“危険な宿主候補”として猫や犬といった家庭内ペットをリストアップした点である。一般家庭で親しまれている動物たちが、次なるパンデミックを引き起こす「感染の媒介者」になる可能性が示唆されたのだ。
感染リスクの高い動物として他にも、スカンクやアライグマ、カワウソ、イタチ、げっ歯類などが挙げられている。一方で、過去にペストを媒介したとされるネズミは、実験によりサル痘への耐性が確認されており、今回のモデルでは除外された。
これにより「ペット由来の人獣共通感染症」という新たなリスクが浮上した。特に都市部においてペットとの接触頻度が高い環境では、ウイルスの伝播速度や感染経路の追跡が困難になる恐れがある。

(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI),『TOCANA』より 引用)