この小型化により、ペースメーカーを注射器の先端に収めることができ、従来のような大がかりな移植手術は必要なく、注射器を通して心臓まで注入できるようになります。
この新型ペースメーカーは、患者の胸に装着される小さくて柔軟なワイヤレスのウェアラブルデバイスと組み合わせて使用されます。
ウェアラブルデバイスが心臓の不整脈を検出すると、自動的に赤外線光のパルスを発し、ペースメーカーを作動させるのです。
この短いパルスは、患者の皮膚、胸骨、筋肉を通過してペーシングを制御します。
ペースメーカーのオン・オフもウェアラブルデバイスで操作可能です。

さらにペースメーカーはバッテリーではなく、体内の生体液を利用して動作します。
生体液が電極に触れることで化学反応が起こり、電気的な刺激を心臓に与える仕組みです。
これにより、従来のバッテリーを使用した大きな機器の必要がなくなり、より小型で軽量なデバイスが実現しました。
では、この世界最小のペースメーカーはどのような患者を想定しているのでしょうか?
取り出さなくても自然に溶けてなくなる
研究者によると、このペースメーカーは主に、先天性心疾患を持つ新生児の小さくて壊れやすい心臓に適しているといいます。
研究主任のイゴール・エフィモフ(Igor Efimov)氏はこう説明します。
「私たちの主要な動機は子供たちでした。
新たに生まれてくる子供の約1%は先天性心疾患を持っています。
ただし良いニュースは、これらの子供たちは手術後に一時的なペーシングが必要なだけであるということです。
基本的には約7日以内に、ほとんどの患者の心臓は自己修復します。しかしその7日間は非常に重要なのです。