ペースメーカーは、脈拍が乱れる不整脈を治療するための医療機器であり、心臓に電気刺激を与えることで正常な拍動を促します。

そして米ノースウェスタン大学(NU)はこのほど、世界最小となる米粒サイズのペースメーカーの開発に成功したと発表しました。

しかもこのペースメーカーは生体適合性であり、役目を終えると手術によって摘出する必要はなく、体内で自然に溶けてしまうとのことです。

一体どのように機能するのでしょうか?

そしてどのような患者への使用を想定しているのでしょう?

目次

  • 世界最小のペースメーカーを開発
  • 取り出さなくても自然に溶けてなくなる

世界最小のペースメーカーを開発

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米粒サイズのペースメーカーを開発/ Credit: NU – World’s smallest pacemaker is activated by light(youtube, 2025)

心臓病の治療に欠かせないペースメーカーですが、その使用にはいくつかの問題があります。

ペースメーカーは、心臓が正常に拍動しない場合に電気的な刺激を与えることで、心拍数を正常に保つ役割を果たします。

しかし従来のペースメーカーを取り付けるためには、心臓の表面に電極を縫い付け、ワイヤーを通して外部の機器と接続する必要がありました。

このため、手術後にはワイヤーの取り外しや外部機器の管理が必要になり、それぞれの作業において心臓を傷つけるリスクがあったのです。

この問題を解決するために、小型化されたワイヤレスのペースメーカーも開発されました。

これはペン先のキャップほどの大きさですが、ワイヤレス化には成功したものの、心臓への植え込みによる合併症のリスクが懸念されています。

そんな中、研究チームはワイヤレスかつ、これまでにない世界最小のペースメーカーの開発に成功しました。

こちらの画像の一番右がそれですが、サイズは米粒くらいしかありません。

幅がわずか1.8ミリ、長さが3.5ミリ、厚さが1ミリとなっていますが、それでもフルサイズのペースメーカーと同じくらいの刺激を提供できます。

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左から伝統的なペースメーカー、ワイヤレスのペースメーカー、新たに開発された世界最小のペースメーカー/ Credit: NU – World’s smallest pacemaker is activated by light(2025)