今回、富山大学の研究チームは父親による育児のメリットを明らかにするため、乳幼児の事故率に焦点を当てた研究を行いました。

研究に用いられたのは、環境省が主導する大規模な出生コホート調査『エコチル調査(Japan Environment and Children’s Study)』のデータです。
対象となったのは、2011〜2014年にかけて全国で登録された約10万人の親子のうち、72,343組のデータ。
分析では、子どもが生後6か月の時点での父親の育児行動(室内遊び、外遊び、食事の世話、おむつ交換、衣服の着脱、入浴、寝かしつけ)7項目を、母親の回答に基づいて4段階評価(3:いつもする~0:まったくしない)で数値化し、合計スコア(0〜21点)を算出しました。
これをもとに、「低群(0〜11点)」「中群(12〜14点)」「高群(15〜21点)」の3つのグループに分類しました。
その後、子どもが生後〜4歳の間に受診が必要なレベルのけが(外傷・熱傷)を経験したかどうかを質問票で確認し、父親の育児スコアとけがの発生率との関連を分析しました。
では、父親による育児にはいったいどれほどのメリットがあるのでしょうか。
父親の育児行動が「けがの予防」につながる可能性

分析の結果、全体における子どもの外傷(骨折を含む)の発生率は5.0%、熱傷(やけど)は4.0%でした。
注目すべきは、父親の育児行動スコアが高いグループでは、子どもの外傷の発生率が有意に低かったという点です。
具体的には、「高群」での外傷率は4.8%、「中群」では4.9%、そして「低群」では5.3%でした。