ちなみに、キリスト教の復活祭の日付は、325年の第1ニカイア公会議で決められた。その原則は「春分後の最初の満月の後の日曜日」となっている。その第1二カイア公会議から今年はちょうど1700年目に当たる。キリスト教の教義を統一し、復活祭の日付を決定した重要な会議だった。この節目に、東西キリスト教会が同じ日に復活祭を祝うわけだ。それゆえに、2025年の復活祭が、東西両教会の対話を促進する象徴的な出来事となるかもしれない。
ところで、ロシア正教会も今年は欧米諸国のキリスト者と同じ日にイースターを迎えることになるから、敬虔なロシア正教徒を自負するロシアのプーチン大統領も正教会でイースターを祝うはずだ。知恵者プーチン氏だから、東西両キリスト教会が同じ日に復活祭を祝う今年、ウクライナ戦争で「イースター停戦」を言い出し、平和の指導者として世界にアピールするかもしれない。
ソ連国家保安委員会(KGB)出身のプーチン氏はかってロシア正教会の洗礼を受けた経緯を語ったことがある。曰く「父親の意思に反し、母親は自分が1カ月半の赤ん坊の時、正教会で洗礼を受けさせた。父親は共産党員で宗教を嫌っていた。正教会の聖職者が母親に『ベビーにミハイルという名前を付ければいい』と助言した。なぜならば、洗礼の日が大天使ミハイルの日だったからだ。しかし、母親は『父親が既に自分の名前と同じウラジーミルという名前を付けた』と説明し、その申し出を断わった」という。
欧州社会は久しくキリスト教社会と言われてきたが、イスラム教徒の数は年々増加してきた。朝にはミサの時間を告げる教会の鐘が鳴り、夕にはイスラム寺院からの祈り時を伝えるアサ―ンが響き渡る。欧州ではキリスト教会とイスラム寺院が時にはいがみ合い、時には共存してきた。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。