また彼らは天敵の捕食による絶滅の危機も、その極端な寿命の長さによってなんとか生きながらえているのです。

絶滅の危機も「寿命の長さ」でカバー

ある地域の個体群には深刻な問題が浮かび上がっています。

米ミネソタ州のライス湖では、過去50年以上にわたってバッファローフィッシュの若い世代の魚が育っておらず、種の絶滅が危惧されているのです。

バッファローフィッシュの産卵は毎年行われ、卵もふ化しているのですが、ライス湖では夏の終わりまでに若い個体がすべて姿を消しているのです。

調査によると、ライス湖のバッファローフィッシュの平均年齢は79歳に達していることが確認されています。

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その主な原因は、カワカマスの一種「ノーザンパイク」による捕食です。

ノーザンパイクの稚魚はバッファローフィッシュより早くふ化して成長します。

そのため、後から生まれて成長速度も遅いバッファローフィッシュの幼魚は、まさに“泳ぐスナック”のような存在であり、ノーザンパイクによって簡単に捕食されてしまうのです。

こうした現状が半世紀以上も続いているにもかかわらず、バッファローフィッシュが完全に絶滅していないのはひとえに「寿命の長さ」に理由があります。

バッファローフィッシュは100年以上も生きられるので、毎年のようにノーザンパイクに子孫を食い荒らされても、たまたま子孫が食べられずに生き残る年が数回あれば、十分に世代を繋ぐことができるのです。

他の魚なら絶滅してしまうような長い空白期間を、彼らはただただ“長く生き延びる”ことで乗り越えているのです。

だからといって、バッファローフィッシュをまったく保護しなくてもいいというわけではありません。

特にミネソタ州では、バッファローフィッシュの漁獲制限がなく、年中いつでも捕獲が可能な状態です。

そのため、ノーザンパイクの他にも人による乱獲が進んで、個体数が減り続けています。