どこから来た? 謎めく岩石の起源

 では、この「セント・ポールズ・ベイ」は一体どこからやって来たのだろうか? NASAによれば、いくつかの可能性が考えられるという。

 一つは、隕石衝突の産物という説だ。火星に隕石が衝突した際、その衝撃と熱で岩石が蒸発し、その後冷えて固まる過程でこのような小さな球状の粒になったのではないか、というわけだ。もしこの説が正しければ、この岩は衝突地点から遠く離れた場所まで運ばれてきた可能性があり、火星表面で物質がどのように移動するのかを知るヒントになるかもしれない。

 もう一つの可能性は、単純にウィッチ・ヘーゼル・ヒルの上方から転がり落ちてきた、というものだ。実は軌道上からの観測によって、この丘には暗い色の地層が存在することがわかっている。もし「セント・ポールズ・ベイ」がこの暗い地層と同じ成分でできていれば、その地層が過去の火山活動、古い隕石の衝突跡、あるいはかつて地下水が存在した証拠など、火星の歴史を解き明かす重要な情報を示している可能性があるのだ。

まるで「クモの卵」火星で発見された“黒い球の塊”に科学者も困惑… 謎の岩石の正体とは
(画像=画像は「Live Science」より,『TOCANA』より 引用)