また赴任先に就いた後の会社側の扱いもこれまた懇切丁寧、腫れ物に触る感覚、いや、管理職の方々からみれば無菌状態で育った培養人に近い感覚かもしれません。「先輩、なぜこれをやる必要があるのですか?」「先輩、これ、無駄じゃないでしょうか?」「先輩、この方針は社会が求める方向と比べて間違っていないでしょうか?」…。これらに対して懇切丁寧に対応するの現代でしょう。昔なんて「そんなの、俺が知るわけないだろう!会社が決めたことなんだ。それに従うのがしもべに与えられたこと」ぐらいでした。

私も若い方々と仕事をして感じるのは現代人はますます知識先行型になっている点です。更にその行為に対して批判的な目線で見ることもしばしばあります。「こんな資料を作っても会議の説明で一瞬、使うだけじゃないですか?本当に必要なんですか?」と食って掛かるのは若手から見れば無為無駄と感じられるからでしょう。

ところが会社の業務というのは長年築かれたラインの業務の中で様々な理由からそのやり方に収斂したはずです。入社数か月の方に「この会社、おかしいだろう」と簡単に反駁されるはずはないのですが、そういった張り切りをみせる方もいらっしゃるようで、会社も現代の猛者に一苦労なのでしょう。

私がサラリーマンを20年やって思ったことは自分の所属している組織と関連組織との連携性が全てであり、企業では決して個人プレーでは動かないという点です。故にサラリーマンになった以上、所属部署の成績向上のためのチームワークが全てであり、和を重んじなければ会社は動かないのです。ところが一人っ子が増え、怒られることを知らない世代となる中でチームワークができず、個人プレイや自己都合が前面に出るケースもあります。「なんでこんな時に休むの!」と言いたくなるような欠勤届も「体調が悪いのに働けっていうのですか?」と言われれば現代社会ではぐうの根も出ません。

「なぜ働くのだろう」といえば私は「天照大神が天から降りてきたら日本の神々は皆仕事をしていた、神様だって働く国なら私はその何倍も働くのが道理だ」といっても「はぁ?」と言われるのがオチ。そこで思いだしたのが80年代のアメリカ人も働かなかったよなぁ、という点。日本は高品質な労働力を抱えているというけれど年間就労時間は相当下がりました。中国、韓国との差のみでありません。アメリカの管理職は何時クビ切りがあるかわからない中で得た高額報酬の仕事は必死でこなすので労働時間は極めて長いです。