今回の研究は、そうした未解決の謎に正面から挑んだものです。
マウスをISSに37日間滞在させた結果…
今回の実験では、生後16週齢のマウスをISSに送り、37日間にわたり微小重力下で生活させました。
そして、地上に戻ったマウスの骨を詳細に分析し、地上で飼育されたコントロール群と比較しました。
この際、微小重力だけでなくロケット打ち上げ時のストレス負荷も考慮して、地上のマウスにはロケット打ち上げと同等の飛行訓練をさせています。
これで微小重力だけの影響を純粋に見ることができます。

研究者たちは、特にマウスにおける“荷重部位”、つまり地球上で体重を支える役割の大きい「大腿骨(足の付け根から膝までの太ももの骨)」に注目しました。
分析の結果、宇宙に滞在したマウスの大腿骨では、内部のスポンジ状の骨が大きく失われていたのです。
特に股関節や膝に近い部位では、骨密度が大幅に減っており、大きな空洞が広がっていました。
一方で、脊椎の腰椎部分ではほとんど変化が見られませんでした。
この差は、重力によって負荷がかかる部位とそうでない部位で、骨の反応がまったく違うことを示しています。
さらに驚くべきことに、宇宙空間では骨の成長の終了を早める「骨化」が加速していたのです。
通常は21〜23週齢で始まるこのプロセスが、無重力下では前倒しで起きていました。
これは成長期の若い個体にとって深刻な問題になりうる現象です。

今回の研究結果が示すのは、微小重力下での骨の弱体化は全身に均等に起こるのではなく、荷重を支えている部位に集中することが示されました。